最初は調子が良かったのに、気づけば反応が落ちてきた——
そんな経験は、Meta広告を運用している人なら誰でもあるはずです。
その原因は、「広告疲れ(Ad Fatigue)」
ユーザーが同じ広告に慣れ、反応しなくなる状態です。
行動経済学者Frederick & Loewensteinが提唱した「快楽順応(Hedonic Adaptation)」という現象があります。
人は“慣れ”によって刺激への感度を失う。
これは幸福にも広告にも同じように起こる心理反応です。
では、その“慣れ”が始まったサインをどう見抜き、どう対処すればいいのか?
ここでは、3つの指標(CTR・CPM・ROAS)を使って、広告疲弊を見抜き、回復させるための実践ステップを紹介します。
—
① CTRが下がったら、“見慣れた”証拠
CTR(クリック率)は、「興味を引けているか」を示す最初のシグナルです。
広告疲弊が進むと、この数字がじわじわ下がっていきます。
なぜCTRが下がるのか
* 同じ人が何度も見て「もう見飽きた」と感じる
* 目に入っても“クリックする理由”がなくなる
* 広告のメッセージがユーザーの今の関心とズレてくる
つまり、CTRの低下は「興味を失い始めている」合図とも言えます。

—
🔧 今すぐできるアクション
1. 新鮮な刺激を与える
* 画像や動画のトーンを変える(たとえば明るめ→落ち着いた色調)
* キャッチコピーを「動詞始まり」にする(例:「知る」「体験する」「変わる」)
* 違う角度の訴求を試す
例「メリット型」→「損失回避型」⇒「3日で変わる」→「3日放置で損してるかも?」
2.出先を変える
* 広告セットの設定を変える
* 広告の入れ替えを行って、学習の方向性を変える
3. 1週間おきのA/Bテストを習慣化
* 小さく2案を走らせ、数字を比べてみる
これは、商品にもよりますが、CTRは1.5%を切り始めたぐらいが“飽き始めた”サイン。
この段階で手を打てば、広告全体の下落を防げます。
—
② CPMが上がったら、“Metaが評価していない”証拠
CPM(1000回表示あたりの費用)は、Metaがあなたの広告をどれだけ“良質”と評価しているかの指標でもあります。
広告疲れが進むと、ユーザーの反応が落ちることで、Metaの配信アルゴリズムが「これは良くない広告」と判断し、配信コストが上昇することがあります。
なぜCPMが上がるのか
* 同じ人に繰り返し表示され、クリックが減る
* 競合広告にクリックを奪われる
* 広告スコア(品質スコア)が下がる

—
🔧 今すぐできるアクション
1. 頻度(フリークエンシー)を確認する
* 広告セットごとの「1人あたりの平均表示回数(Frequency)」が 3以上なら要注意。(商品による。)
2. 配信先をリフレッシュ
* 新しい類似オーディエンスを作成
* 過去30日間のエンゲージメントを除外
するなど、違うターゲティングや最近アプローチした顧客の除外を検討
3. 予算を一時的に下げて“再学習
* 広告学習が詰まった状態をリセットし、再度アルゴリズムを動かす
CTR低下+CPM上昇のセットは、「疲弊進行中」の典型パターン。
ここで放置すると、ROASにも影響します。
—
③ ROASが下がったら、“お金が漏れている”証拠
ROAS(Return On Ad Spend)は、広告費に対して得られた売上の割合。
ここが下がってきたら、単に「広告が疲れている」だけでなく、“お金が漏れている”状態です。
なぜROASが下がるのか
* CTR低下でクリック数が減る
* CPM上昇で費用が増える
* 広告を見たユーザーが“買う気”を失っている

—
🔧 今すぐできるアクション
1. 低ROASセットを止める
* ROASが2.0未満の広告セットは一度OFFにして再設計してみる
2. 導線を点検
* LP(ランディングページ)の読み込み速度
* CTA(ボタン文言)の明確さ
* ナーチャリングの見直しなど
3. 再獲得(リターゲティング)広告を組み込む
* カート放棄者、動画視聴者、サイト訪問者などへ再配信
* 「まだ迷ってる人」に2回目のチャンスを与える
ROASは“結果の最終値”
ここで初めて赤字になって気づくケースが多いので、CTR・CPMの段階で食い止めるのが理想です。
—
④ 「広告疲れを防ぐ」3つの心理原則
広告疲弊を“人の心”から見ると、次の3つの心理原則が役立ちます。
1. 快楽順応(Frederick & Loewenstein, 1999)
→ 同じ刺激に慣れてしまう。
対応策: 広告を「定期的に変える」「予想を裏切る」構成に。
(例:「値下げしました」ではなく「この価格、いつまで?」)
2.社会的証明(Cialdini, 1984)
→ 他人の行動に影響を受ける。
対応策:“人気投稿”“体験談”“利用者数”をクリエイティブに組み込む。
3.自己決定理論(Deci & Ryan, 1985)
→ 人は「自分で選んだ」と思うことで満足する。
対応策:広告で「押しつける」より、「選べる」形にする。
(例:「どちらのタイプですか?」など質問型広告)

まとめ:広告は“変える勇気”が利益を生む
広告は、放っておけば必ず疲れます。
なぜなら人間は、慣れる生き物だから。
その疲労を数値で見抜くのが、
* CTR(反応の鈍化)
* CPM(配信効率の悪化)
* ROAS(利益率の崩壊)
この3つ。
そして、それぞれの段階で“小さく変える”ことで、効果を長く保つことができます。
人の感情は“新鮮さ”に反応し、“押しつけ”で離れます。
広告も同じ。少しの変化と余白を持たせるだけで、見え方は劇的に変わります。


コメント